「モノ売り」から「価値提供業」へ!お客様の心を動かすストーリーの作り方

「良い商品を作ったのに、なぜか売れない」「美味しい料理なのに、お客様が来てくれない」

多くの事業者様が直面するこの疑問。もしかしたら、その答えは 「お客様の心に刺さる「価値」を提供していないから」かもしれません。

この記事では、お客様の心を動かす商品コンセプトやストーリーの作り方について解説します!

お客様は商品そのものではなく、“その先の価値”を買っている


お客様が商品を購入したりサービスの提供を受ける時本当に求めているのは、実は商品そのものではなく、それによって得られる「価値」や「成果」です。具体的には、以下の3つの視点から考えられます。

  1. 問題解決(課題の解消)
    お客様は、自分が抱えている悩みや課題を解決したいと考えています。商品やサービスはその手段です。

    お客様が求めているもの:「〇〇ができるようになる」「〇〇の問題が解決される」

    例:
    ・「洗濯物が部屋干しで臭くなる」という課題を解決するために、「 抗菌・消臭効果のある洗剤」を購入します
    ・「移動中に道に迷う」という課題を解決するために、「GPS機能付きスマートフォン」を購入します
  2. 理想や目標の実現
    商品やサービスは、お客様が描く「理想の状態」や「目指す未来」を実現するためのサポートを提供します。

    お客様が求めているもの:「〇〇になれる」「〇〇を達成できる」

    例:
    ・清潔で良い香りがする服を毎日着たい(理想 )を実現するために「柔軟剤入りの洗剤」を購入します
    ・健康で活動的な生活を送リたい(理想)を実現するために「高栄養のプロテインバー」を購入します
  3. 感情や体験

    顧客は、商品やサービスによって得られる「気持ちの良い体験」や「ポジティブな感情」も求めています。

    お客様が求めているもの:「〇〇を感じたい」「〇〇の体験をしたい」

    例:
    ・心地よい香りに包まれてリラックスしたい(感情)ので、「香りが長続きする洗剤」を購入します
    ・自分の努力が評価される満足感を得たい(体験)ので、「高級ブランド品」を購入します
    ・家族や友人と楽しい時間を過ごしたい(体験)ので、「ゲーム機」を購入します

重要なポイント

お客様は商品やサービスの具体的な機能や特徴ではなく、それを使った結果やそれによって得られる変化を求めています。そのため、お客様にアプローチする際は、商品が提供する価値を中心にメッセージを発信することが重要です。

お客様が“価値”を実感するストーリーの作り方

では、商品が提供する価値を中心にメッセージを発信するにはどうすればいいでしょうか?

商品が提供する価値を中心にメッセージを発信するためには、「生活シーンのストーリー」と「お客様価値ストーリー」のふたつを組み合わせて活用することが有効です。

お客様価値ストーリーは、お客様に「なぜこの商品が必要か」を伝える土台となり、生活シーンのストーリーはその価値を具体的な日常生活に結びつけて顧客にリアルなイメージを提供します。

これらにより、お客様に具体的で感情的な共感を与えつつ、商品の提供価値を強調できます。

それぞれについて解説していきます。

お客様価値ストーリー

お客様価値ストーリーは、お客様に対して商品やサービスがどのように価値を提供し、生活を変えるのかを描くものです。
お客様価値ストーリーを作る際には、以下のステップで検討してみましょう。

5つの要素の明確化

まず以下の5つの要素を検討しましょう。

  1. お客様ターゲット
    販売する商品やサービスは誰の悩みや望みを解決するのでしょうか。明確なターゲットを設定することで、どんな価値を提供するのかが具体的かつ的確になります。

    例:
    ・働きながら子育てをする30代の主婦
    ・部屋干し臭を防ぎたい忙しいビジネスパーソン

    具体的な方法については、別記事で解説します。
  2. 商品の機能
    販売する商品やサービスは、悩みや望みをどのように解決するのでしょうか。顧客の悩みや望みに応える具体的な機能や特徴を挙げてみましょう。

    例:
    ・抗菌・消臭効果を持つ洗濯洗剤
    ・時短を実現するカプセルタイプの洗剤
  3. 選ばれる理由
    お客様が市場のたくさんの選択肢の中から自社の商品やサービスを選ぶ理由は何でしょうか。競合との差別化を明確にするために、No.1かオンリーワンの価値※を挙げてみましょう。
    ※:No.1かオンリーワンの価値とは、他社製品やサービスと比べて、これだけは負けないぞ、と言う特徴です。

    例:
    ・敏感肌にも安心な天然成分でできている
    ・環境に配慮した成分でエコ意識の高い顧客に支持される
  4. ある生活シーンでのありたい姿
    商品やサービスがお客様の生活をどのように変えるか、お客様が「商品を使った後にどうなりたいか」を描きましょう。お客様の感情や理想に共感し、未来像を具体化することができます。

    例:
    ・部屋干しでも爽やかな香りの服に包まれ、自信を持って外出できる私
    ・子どもの肌荒れを気にせず、安心して服を着せられる親
  5. 現状の課題や壁
    商品やサービスがなかったらお客様が抱える問題や困りごとを挙げましょう。
    お客様が直面する課題を理解し、それを解決することができる商品やサービスの価値を強調できます。

    例:
    ・部屋干しした洗濯物に嫌な臭いが残る
    ・化学物質入りの洗剤を使うと子どもの肌が荒れてしまう
STEP
1

事業目的と強みの明確化

お客様価値ストーリーを効果的に作成するには、事業目的と自社の強みが明確であることが重要です。
明確な事業目的と強みがあれば、お客様は企業が何を大切にしているのか理解しやすくなり、信頼感が生まれます。信頼は、お客様が商品やサービスを選ぶ際の大きな要因です。

以下の手順で、事業目的と強みを考えてみましょう。

  1. 事業の「志」を決める
    あなたの会社の志(事業目的)は何でしょうか。言い換えれば、社会やお客様にどんな貢献をしたいのでしょうか。○○を通じて〜したいという形で表してみましょう。
    これが明確でないと、ストーリー全体の方向性が定まりません。
  2. 自社の強みを考える
    他の人・会社に比べて、優れているところは何でしょうか。「○○だったら誰にも負けません」「△△だったら任せてもらえます」など、自社がお客様の課題をどのように解決できるのかを具体化します。
    これが不明確だと、競合との差別化や説得力が弱まります。

事業目的と強みの例:


事業:洗濯洗剤事業
事業目的:洗濯洗剤を通じて、家族の健康と暮らしの快適さを守ります。
強み: 「抗菌効果」「肌に優しい成分」「環境に配慮した製品設計」

STEP
2

お客様価値ストーリーの作成

お客様ターゲットが明確になったら、お客様価値ストーリーを考えましょう。
「私は〜できる。〇〇があるから。」「私は〜になれる。〇〇のおかげで。」と言うふうに、「その商品で解決できること」と「その理由」で表すと良いでしょう。

具体例: 洗濯洗剤のお客様価値ストーリー


私は、部屋干し臭を気にせず、どんな天気でも快適に過ごせる。この抗菌洗剤があるから。

STEP
3

生活シーンのストーリー

生活シーンのストーリーとは、商品やサービスがお客様の日常生活にどのように役立ち、どんな変化をもたらすかを具体的に描くものです。
お客様に「これが私の生活でも起こるかも」と想像させることで、感情的な共感と購買意欲を引き出します。

このストーリーを作る際には、以下のステップで検討してみましょう。

顧客ターゲットを明確にする

生活シーンのストーリーは、特定のお客様ターゲットに向けて描くことが重要です。誰に向けたストーリーなのかを明確にしましょう。

1. ターゲットの属性を定義: 年齢、性別、職業、ライフスタイルを決める

例:
忙しい共働き家庭の主婦(30代)、一人暮らしの学生(20代)。

2. ターゲットの課題を特定: 何が不便で、どんな悩みを抱えているのかを考える

例:
部屋干しの臭いが取れない
時間がないので簡単に洗濯を終わらせたい

STEP
1

商品やサービスの価値を明確にする

商品やサービスがお客様の課題をどう解決し、どのような理想的な状態を実現するのかを明らかにします。

1. 商品の強みを洗い出す

例:
抗菌・消臭効果、時短設計、環境に優しい成分

2. その強みが顧客の課題をどう解決するかを考える

例:
「部屋干しの嫌な臭いを完全に防ぎ、家族全員が清潔な服を楽しめる。」

STEP
2

ストーリーの構造を設計する

生活シーンのストーリーには、以下のような構造を取り入れると分かりやすくなります。

1.背景設定(Before)
お客様の課題や困っている状況を描写します。

例:
雨の日が続き、部屋干しの洗濯物が臭くなって困っている主婦

2.商品の登場(Discovery)
その課題を解決する商品やサービスを自然に登場させます。

例:
SNSで紹介されていた抗菌・消臭洗剤を試してみることに

3.使用体験(Action)
商品を使った結果、どのような変化が起こったかを具体的に描写します。

例:
洗濯物を部屋干ししても爽やかな香りが続き、家族からも好評

4.理想の未来(After)
商品によって得られた理想的な生活や感情を描きます。

例:
毎朝清潔な服に包まれた家族を見て、主婦も心に余裕を感じられるようになった

STEP
3

ストーリーを具体的に描写する

お客様が自分の生活に重ね合わせやすいように、具体的なシーンや感情を細かく描写します。

ポイント
1. 具体的な行動を含める: 「洗濯物を干して、2時間後に部屋中に爽やかな香りが広がる。」
2. 五感を刺激する描写: 「ふんわりとした香りが部屋全体に漂い、リフレッシュできた。」
3. 感情を入れる: 「家族から『いい香りがするね』と言われて嬉しくなった。」

具体例: 洗濯洗剤の生活シーンのストーリー


雨が続く1週間。いつもは気になる部屋干しの嫌な臭いが、この洗剤のおかげでまったく気にならない。ふんわり香る洗濯物を取り込むと、清潔感と爽やかさで気分が晴れる。

STEP
4

(参考)お客様価値ストーリーと生活シーンのストーリーの関係

お客様価値ストーリーは「なぜこの商品が必要か」を伝える土台となり、生活シーンのストーリーはその価値を具体的な日常生活に結びつけて顧客にリアルなイメージを提供します。

  • お客様価値ストーリーが核となり、生活シーンのストーリーはそれを補足し具体化する役割を果たします。
  • 両者を活用することで、顧客に「この商品は自分のためのものだ」と実感させる強力なメッセージを発信できます。

両方を組み合わせた活用のメリット

  1. 感情的な共感
    お客様価値ストーリーで「共感」を得て、生活シーンで「リアルなイメージ」を提供できる
  2. 購買動機の強化
    抽象的な価値(お客様価値ストーリー)を、具体的な行動(生活シーン)に結びつけることができる
  3. マーケティングの一貫性
    商品の価値がターゲットの日常生活でどのように活かされるかを一貫して伝えることで、ブランドの信頼感を増すことができる

まとめ

お客様価値ストーリーと生活シーンのストーリーを組み合わせて、自社の商品・サービスのメッセージを見直してみましょう。ターゲット顧客の生活を変えるストーリーを描けば、きっと売上にも変化が現れるはずです。

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